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【脳破壊】起きていられるのは脳のどこが大事なのか?『睡眠と生体リズム#6』

起きていられるのは脳のどこが大事なのか?

起きていられるのは脳のどこが大事なのか?

【introduction】

 

寝るということは不思議なものですが、
起きている

ということも不思議だなと思ったりします。

 

寝たり起きたりする脳内メカニズム
についての実験研究を私なりに解説しました。

 

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この記事の要約
  • ネコの脳破壊でわかった覚醒と睡眠
  • 生理心理学 第10回 生体リズムと睡眠 より

 

 

ネコの上位離断脳と下位離断脳という実験


ネコの上位離断脳と下位離断脳(Bremer,1935)

 

ネコの脳の一部を切る実験について。


脳幹の上の部分を切った脳、脳幹の下の部分(脊髄より)を切った脳を比較した実験です。

 

脳幹の上位を切断することを上位離断脳と呼び、

脳幹の下位を切断することを下位離断脳と呼ぶとします。

 

上位離断は、いわば脳に脳幹がない状態です。

 

昏睡状態になります。

 

脳波は睡眠パターンの脳波のみ、高振幅徐波しか取れません。

 

一方、
下位離断では睡眠も覚醒も生じます

 

昏睡状態になりません。

 

この研究から
私たちが起きているためには
(覚醒のためには)
脳幹の部分がいるということが分かったのでした。

 

さらに十数年後のリンズレーの
脳幹の一部を壊す実験がありました。

 

それは脳幹の芯を壊す実験、外側を壊す実験です。

 

特に芯の部分が損傷したら、昏睡状態になるということが明らかになっています。

 

 

上行性網様体賦活系

 

以上のような経緯から

上行性網様体賦活系(じょうこうせいもうようたいふかつけい)

という概念が提唱されるようになりました。

 

脳幹の芯の部分を上行性網様体賦活系と呼びます。

 

上行性網様体賦活系の活動が大脳皮質の活性を導いています。

 

これが脳の中で電源のように働いて
私たちは起きることができる
と言われてきました。

 

 

覚せいを司る神経核

 

近年の研究で特に

上行性網様体賦活系の何が重要なのかということがわかってきています。

 

それぞれの部位と伝達物質について。

 

脚傍核外背側被蓋核アセチルコリン作動性
アセチルコリンは伝達物質、覚醒中枢として知られています。

 

・青斑核ノルアドレナリン作動性

 

・縫線核セロトニン作動性
覚醒 起きているために重要な作用をしています。


・結束乳頭核ヒスタミン作動性
結束乳頭核というところにヒスタミンを伝達物質として持つニューロンが集まっています。
⇒覚醒 起きているために作用しています。


視床下部外側部オレキシン(ヒポクレチン)作動性
視床下部外側部では、オレキシンを伝達物質としてニューロンが集まってます。


オレキシンは覚せいにとって大事だと近年わかってきました。

 

これらは脳幹部の部位とニューロンが出している伝達物質です。

 

 

各睡眠段階における神経細胞活動(青斑核)

 

ラットの脳の青斑核に電極をさして
覚醒、ノンレム睡眠、睡眠、覚醒という段階の活動電位を調べプロットします。

 

覚醒時からノンレム睡眠に向かって、

活動電位は下がっていきます。

 

ノンレム睡眠レム睡眠ではほとんど活動がありません。

 

この状態から覚醒すると、活動電位回数は急上昇しています。

 

覚醒にとって青斑核は非常に重要だということが

ラットを使った実験で分かったのでした。

 

 

【outroduction】


私たちが起きたり寝たりする脳内メカニズム、

それと脳幹の部位と伝達物質を紹介しました。

 

1930年代くらいからある実験について私なりに解説しました。


次回
オレキシンについての話です。

 


番組情報

放送大学bs232
生理心理学 第10回 生体リズムと睡眠 より


2021年12月6日

主任講師 
担当講師
客員教授 岡田隆 (上智大学教授)

 


最後までご視聴ありがとうございました。
 thank you for watching