睡眠改善アドバンス!脳部位破壊の調べ『睡眠と生体リズム#2』
【introduction】
何らかの生物を実験した授業は誰にでもあるかと思います。
私は実験が好きな少年でしたが、
動物実験は記憶にありません。
苦手です。
前回記事では私たちの体の中に時計みたいなものがあるという話をしました。
それはどこなのでしょう?
今回の記事はラットを用いた研究の解説です。
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この記事の要約
- ラットの視交叉上核の破壊研究でわかったこと
- 生理心理学 第10回 生体リズムと睡眠 より
視交叉上核がマスタークロックとして機能している
1970年代から生体リズムと脳の研究がはじめられました。
視交叉上核破壊による概日リズム消失(活動性と飲水行動)
ラットを用いた研究です。
間脳の視床下部の一番下に視交叉上核が左右にあります。
視神経が交差するところの上部に位置するため、
視交叉上核といわれます。
ラットの視交叉上核を破壊しました。
ラットは夜行性です。
無処置のラットは暗いときに活動的で、
明るいときは活動をしません。
(普通のラットと同じです)
ところが、視交叉上核を破壊されたラットは
昼夜に関係なく、
飲水行動および活動が見られました。
結果として、左右の視交叉上核を破壊すると
概日リズムが著しく乱されるということがわかりました。
視交叉上核における活動の昼夜差
2-デオキシグルコース法について。
グルコースはエネルギー源です。
神経活動が盛んなところにグルコースが取り込まれるわけです。
代謝はされませんから長い間、神経細胞にとどまるため後から可視化できます。
ラットの脳の左右の視交叉上核の活動を
放射性元素でマーキングして見比べます。
明るいときはグルコースがたくさん視交叉上核に
集まりが見られ活動しているとわかりました。
暗いとグルコースの集まりが見られません。
2-デオキシグルコース法をもちいて
明るいときに視交叉上核が活動していると示唆する研究を解説しました。
視交叉上核における電気活動の昼夜差
電気生理学的にも視交叉上核において日内変動がみられるという研究があります。
ラットの脳の視交叉上核に刺した電極から
ニューロンの神経活動の大きさを時間ごとに分布してみると
昼には活動が大きくなり、夜には活動が落ちてくるという分布を示します。
2-デオキシグルコース法と同じように概日リズムを示しました。
【outroduction】
以上2つの研究より、
視交叉上核では昼夜活動が違うということがわかってきた、というわけです。
次回は、視交叉上核が全体として時計の役割をしているのか、
それとももっと細かな細胞一個一個が時計として機能するのかという話になります。
番組情報
放送大学bs232
生理心理学 第10回 生体リズムと睡眠 より
2021年12月6日
最後までご視聴ありがとうございました。
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